インスペクション実務研修にて<2017.8.9撮影>
国の施策として、中古住宅市場の活性化が挙げられています。その対策を国土交通省がいろんな策を発表していますが、そのうちの1つに「ホームインスペクションの普及」というものがあります。
まあ、正直言って名前だけを見ても(聞いても)、何のことなのかサッパリ分からないと思います。全く一般的な言葉ではありませんから。
実は今年、ホームインスペクションの説明が義務化されます。
つまり、お客様にとっても関係無い話ではなくなったのです。
今回はホームインスペクションについてご紹介していきます。
ホームインスペクションとは、住宅の設計や施工などに詳しい専門家である建築士などが、建物のコンディションや状況などの調査を実施して、現状での欠陥、補修しなければいけない箇所、補修の時期などを客観的に診断することです。
住宅診断や建物検査とも言われています。人間で言う健康診断なものです。
中古物件の診断・検査だけでなく、新築住宅が完成した後の内覧会などに同行して、専門家として建物などに不具合がないかチェックする役割もあります。
ただ、最近話題になっておるのは、中古物件の劣化状態などを検査するホームインスペクションで、中古住宅を安心して買える環境を整えるという政府施策に則したものです。
もう少し詳しく話を続けていきます。
「中古住宅・リフォームトータルプラン」という、国土交通省が掲げる施策があります。中古住宅の流通、リフォームの活性化の方向性を示すものです。また、不動産流通市場の活性化を検討する場として置かれている「不動産流通活性化フォーラム」でも、具体的な施策としてホームインスペクションの普及が重要項目として挙げられています。
ホームインスペクションが活用されるシーンは、
・購入する側が、中古住宅の購入の判断材料として、建築検査を依頼する
・中古住宅の販売促進材料として、仲介会社などがサービスとして検査する
・既存住宅売買瑕疵保険のための検査として行う
・耐震診断やフラット35の適合検査などにホームインスペクションを利用する
などがあります。
現状では1つ目と2つ目が利用シーンとして多いようです。
中古物件を購入する場合、その物件に不具合や問題点はないのか、素人目では判断できないので、購入者が費用をかけてプロの目で確認しるために、ホームインスペクションを依頼します。中古物件はリフォームが必要な場合も多いので、どの程度のリフォームが必要で、どのくらいリフォーム費用がかかるか確認します。
このような事例が増えると、2つ目の事例も増えていきます。安心して購入してもらえるよう、サービスの一環として仲介業者が実施するのですね。
ホームインスペクションの課題としては、ホームインスペクションを誰に頼めば良いのか分かりにくいというものがあります。
実は、ホームインスペクションを実施する企業や団体によって資格や基準の技術力、インスペクションの検査基準が異なっているのです。また、ホームインスペクションの結果について、その後何らかの問題や課題が発生した場合の責任の所在や保証内容が不明確なケースも多いようで、国土交通省が今後ホームインスペクションのガイドラインをとりまとめるという方針を出しています。
ちなみに私も昨年の8月にNPO法人が主催するインスペクションの試験を受験し1級建物アドバイザーの資格を取得いたしました。
これから広がっていきそうなホームインスペクション。しばらく注目していきたいと考えています。